(※ はじめに、『“胸水貯留”に関して』
連動記事『心の底から、やっと素直に…』 『その他、関する色々』)
「病理解剖のススメ」と言うタイトルが適当なんだと思う。
でも、私は獣医学とは関係の無い、ただの飼い主だ。
ただの飼い主の立場で“解剖”と言う言葉は使いたくなかった。
また、(他のウサ飼いさんに対して)「解剖を(依頼)して欲しい」とも、言えない…。
でも、もし、ウサギ自身が、ウサギ医学のために、
あえて、病気を科せられ、治療法を探る手段に使われている現実があるとしたら…
ウサギを用いた実験を経由した薬を、彼ら(ウサギ)が使ってるとしたら…
その命の犠牲の上に、生きている、生かされてるのが、我が家のウサギたちであるなら…
こういった形で、恩返しをする。
可愛いのは、自分の飼ってるウサギだけじゃない。
大切なのは、自分の飼ってるウサギだけじゃない。
あそこのウサギも、ここのウサギも、全部同じウサギだ。
ありすは、胸水貯留のため、(胸に溜まった水によって)気管を圧迫され、窒息死した。
胸水貯留になる原因はいくつかある。(詳細は記事『その他、関する色々』内で)
ありすの場合、1回目のエコーで“何か”が写っていた事と、
取り出せた胸水の検査の結果から、胸腔内腫瘤(きょうくうないしゅりゅう)
おそらく、胸内に腫瘍(ガン)がある事により、水が溜まるのでは無いか、と言うところだった。
でも、真実は違った。
予想できる原因の内の、どれでも無かった。
希少症例なのか? いや、そうとは言い切れない。
胸水貯留で、原因が確定できないまま、亡くなるケースの、
すべてが解剖され、解明されるわけでは無いから。
…今まで、そうして亡くなったウサギの中に、
もしかしたら、ありすと同じケースのウサギが居たかもしれない。
その可能性は、決して否定できない。
今回、『胸水貯留』の原因が、新たに1つ増えた事で、
今後、同じ病気になるウサギの、処置、看護、闘病において、
選択肢が1つでも増えてればいいな、と思います。
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開胸一番、3センチから5センチくらいか、黒っぽい大きめの塊が目に飛び込んで来た。
それが心臓付近に出来た事により、心臓の機能が低下し、
胸に水が溜まってしまったのでは無いか、と。
その、水風船のような“何か”を切り、取り出した。
針で突いてみると、中から(おそらく)血液がこぼれた。
水風船のような袋、それが何か?を調べてもらうべく、検査機関への依頼をお願いした。
検査機関は、所見、絵的な事での見解の部分が多く、
私はじめ、素人が求めるような回答を得られないかも…と、アドバイスは頂いてたのだが、
せっかく見つけた真実なので、できる所までは突き詰めようと。
・病理組織学的診断 胸膜由来の嚢胞(のうほう)
・所見
検体は大型嚢(のう)胞で、のう胞腔内は流出のためか空虚で、
のう胞壁の内腔側は部分的であるが、
一層の扁平から立方の上皮細胞で覆われています。
その直下には膠原線維性の比較的厚い層があり、
リンパ球を主体とした形質細胞を混じた高度瀰慢性細胞浸潤が、
広範囲に認められます。その中には石灰沈着が散在性に認められ、
その周囲では異物巨細胞を混じた肉芽組織の形成がみられます。
また別の場所では何か特定できませんが、
黒褐色の異物を貧食している多数のマクロファージが集積しています。
のう胞壁を覆う内腔側の一層の細胞はおそらく中皮細胞と考えられ、
壁側か臓側かわかりませんが、胸壁の胸膜由来の嚢胞ではないかと思います。
・コメント
リンパ球など慢性炎症細胞浸潤が主体で、石灰沈着などがあり、
かなり古くから存在している嚢胞のようにみえます。
腫瘍性の変化はみられませんでした。
素人には、さっぱりわからないかと…。
何らかの原因で、胸の中の壁の皮が、膨らみ弛み、袋状になり、
そこへ血液(水)が入り、大きくなり…側の心臓に影響を及ぼし、
心臓の動きを低下させてしまった。てな感じか。
問題は、何故、その袋が出来たのか…。
外傷(胸を強く打ちつけたとか)からは、考えにくい。
遺伝など先天性も、可能性は無いとは言い切れないが…。
心臓疾患があったために、その袋が出来てしまった?というのは、
どちらかと言うと、逆、袋が出来てしまったために、
いわゆる心臓病のような状態になったのでは、と。
何故、その袋が出来たのか…。 …ストレスか…。
他、胃腸肝臓、見れる範囲で診て頂きましたが、
素人目で見てもわかるぐらい、恐ろしいまでもキレイでした…。
“病気を思わせる、色、形はどこにも無い”
ただ、ただ、その水風船が心臓の近くにできたから…
それで、胸に水が溜まってしまっただけ…。
もし、その袋を外から針で突いて、破いてあげる事だけで、解決したのであれば…
…非常に残念だ、と先生…。
追記・終わりの処置。
嚢胞を取り出し、胸の中の水を、ガーゼで染ませて減らし、
新しいガーゼを体内に入れ、普段通り、縫い合わせ、
体についた血を噴いて(そんな多くは無いです)終わりです。
最後、縫い合わせる前に、体内にガーゼを入れる意味がわからなかったんですが、
体内に残っている血液を吸収させるため、だそうです。
体型を整えるため、とばかり思ってました。
体型だけであれば、肋骨があるので、それを取り除かない限り、ある程度は保てますが、
ガーゼを入れてなければ、縫い目から血液が滲み出てきます。
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