(※ はじめに、『“胸水貯留”に関して』
連動記事『亡くなった後の事』 『心の底から、やっと素直に…』)
ありすの病気を通して…。
項目(詳細は“続きを読む”の方で。)
・エコー(超音波)検査がウサギに有効でない理由。
・胸に水の溜まる原因。
・心臓の働きと溜まる水の関係。
・この場合の“悪循環”の意味。
・注射(利尿剤)の量、回数(処置対応)に関して。
注:私の記憶がうろ覚えな点もあり、また、先生との相違もあるかもしれません。
私自身がウサギに長けた獣医師で無いため、100%の情報ではありません。
ここに書いてある事が、すべてでもありません。
必要な場合、“きちんとウサギを診れる”獣医に、確認を取る事も合わせてお願いします。
・エコー(超音波)検査がウサギに有効でない理由。
(すみません、他にもあるかもしれませんが、とりあえず覚えてる2点を…。)
ウサギは犬猫に比べ、体が小さいため。
ウサギに限らず、チンチラ、ハムスターなど、
小動物は、体が小さいゆえ、正確な映像が読み取りにくいらしい。
加えて、ウサギの場合は、密度の濃い体毛が邪魔をする。
手術の際など、毛を剃りますが、剃っても、シャギーのような肌の露出は無いですよね?
産毛(?)毛穴も見えないくらい、ウサギの皮膚には、毛が詰まっています。
その毛が原因で、鮮明さを欠くらしい。
(ウサギを濡らしてしまうと、なかなか乾かないのも、この特有の“毛”が原因だったはず…。
乾きにくいから、風邪をひきやすくなる。だから、濡らしてはいけないって。)
今回、ありすは3回ほどエコー検査をしています。
1回目には映った“何か”が、2回目以降では、映っていませんでした。
“何か”が無くなったわけではなく、ただ、映らなかっただけです。
“何か”は、実際、存在してたのですから。
先生は、1回目の“映った”事の方が珍しい。すごい事だ、と。
後記:ならばツルツルシャギーは鮮明に映る?と、こないだエコー検査した時に聞いたら、
通常、ウサギは、ある程度のガスがお腹にある、それが邪魔をするらしい。
・胸に水の溜まる原因。
原因はいくつかあります。
@胃腸の病気で、血液中の蛋白が減り、水分を血管にとどめて置けなくなったため。
(蛋白が、ある程度血液中にないと
水分を血管に保っていられなくなり、胸水や腹水が起こる)
A肝臓疾患で、胃腸から吸収した蛋白を、体に有効な蛋白に
作り変えることができなくなり、水分を血管にとどめて置けなくなったため。
B腎臓疾患で、胃腸は問題なく蛋白を作れるのだが、
それがおしっこで出て行ってしまい(結局低蛋白になり)、
水分を血管にとどめて置けなくなったため。
C心疾患で、血液をうまく循環できなくなり、水分が血管からあふれ出すため。
D腫瘍により水がたまってしまうため。
(以上5点は、ありす闘病中に友達がウサギで有名な某先生へ
相談して下さり、頂いた返事からの抜粋です。)
E感染症の場合。(?)
そして、先生は、今回のありすの例は、新たに、F番目として挙げられると…。
亡くなってから後日、(失礼承知で)この内容を提示し、先生に色々伺いました。
まず、ギリギリまで食べていて、糞も出ていて動きもある…
と言う事で、@〜Bは無いだろうと思ったらしい。
抜き出せた水を検査した結果からも、@〜B、および、Eは消えた。
CかDか、は、水の検査結果と、エコーで“何か”が映った事から、
消去法で行くと、Dの可能性が一番高い、と。
@〜Bについては、今回、経験していないので、詳しくは聞いていません。
Dの、腫瘍により水が溜まるというのは、腫瘍からも水が出るらしい。
Eに関しては、詳細を、あえて問わなかったので不確かです。
・心臓の働きと溜まる水の関係。
心臓の機能低下(心臓病含む?)によって、胸に水が溜まるのは何故か。
まず、
胸水 と言うのだから、溜まるのは“水”?
でも、実際には、無色透明のいわゆる“水”ではない。
むしろ、“血液”と言う方が、素人にはわかりやすいと思う。
そして、
“血管”と言うと、まるでゴムホースかのような管を想像するが、
実際には、“和紙”のような、薄い紙で出来た筒、を想像するのが妥当。
本題。
心臓は、血管から血液を引き込んで、
別の、違う血管へ血液を押し出す、ポンプのような動きをしてる。(?)
(井戸水を汲み上げる、昔の?ポンプを想像してもらえたら…)
そのポンプ(=心臓)が壊れてしまったら…
普段のように、血液を血管へと“勢いよく”流す事ができなくなる。
血管の中を通る、血液の流れが遅い(弱い)ため、
血管から血液が染み零れてしまい、それが胸内に蓄積される。
“胸水貯留” 心臓のある胸の中に、血管から染み出た、
こぼれ、滴った血液が、溜まってしまう。
その溜まった水(血液)が、どのようにして、膀胱を通して
尿として出せるのか… 物理的な事はわかりません。
実際には、溜まってる水が出てるわけでは無いのかもしれない…
でも、尿を多く出す事で、確かに胸内の水(血液)は減らせるのです…。
外科処置の無い場合、直接、針を刺して、水を抜くか、
たくさん排尿させる(利尿剤)が有効な手段かと。
利尿剤投与で、腎臓への負担も懸念されますが、
胸に溜まる水(血液)の量、速度を考えれば、
最優先されるのは、生きている事=呼吸です。
すなわち、腎臓の機能が低下するまでの期間、
呼吸、食を確保できる程の胸内を保てる可能性が少ないと言うことです。
・この場合の“悪循環”の意味。
胸に溜まる水により、気管が圧迫され、細くなる。
思い切り空気を吸っても、必要量を吸い込めない。
足りないから、一生懸命、吸おうとする。
そうすることで、心臓は、一層激しく働く。
心臓を激しく動かせば、こぼれる血液の量も増え、胸に溜まる水の量がまた増える。
…それを繰り返す。これが先生の言う“悪循環”
溜まる量に比例して、心臓の動きは激しくなり、
結果、溜まる量を増やしてしまう。
小さな胸の中で、その悪循環が起これば、数分の猶予すら無くなる。
“呼吸の苦しい”動物は、安定していても、
いつ急に…と言う事がありえるのはそこ。
いつでも、“時間が無い”状態だという事。
…終わってから、きちんとその意味が理解でき…
“安静”の意味を知る。
調子が良ければ、食べる量も増えるし、動きのバリエーションも増える。
そうすれば、心臓の動きも増える。
しかし、機能が正常でないので、結果、溜まる水の量を増やしてしまう…。
ありすの調子の良い日は安定せず、続かず、1、2日置きの交互だった。
そういう事だったのか。
調子が良くても、喜んでいられない。
その好調が、次の不調を引き起こす可能性があるから。
…気づいてなかったのは幸か不幸か…
それらを理解できた時、“すごくすごく悲しい病気”だな、と思った。
・注射(利尿剤)の量、回数(処置対応)に関して。
注射をもらいに行くと言う用事もありましたが、
ありすの画像、動画を撮り、糞や尿を持参して、
たびたび病院へは足を運んでました。
仕草や様子を伝え、どういう状態が起こっていると予想できるか、
環境、過ごし方の注意点等…
いっぱい聞いたのに、結局、頭できちんと理解は出来てなかったのですが…。
注射の量を増やすか否か、本数、回数を増やすか否か、
その手の相談は、毎回出てました。
「食欲と糞、本人の様子を見て決めよう」という事だったのですが、
調子が安定しないため、踏み切れずにいた。
私は、できるだけ、時間を稼ぎたい。
1本から2本、になってしまうと…残りの手段が少なくなる…。
1本と2本の間の手段を試してから… と、何とか時間を稼いで、
稼いでしてる間に、抗癌のお薬が効いて…と言うところに期待をしたい。
そう話した時、先生は、(普段、あまり自分の意見を押す事は無いんですが)
「獣医師の立場としては、呼吸の苦しい動物には、時間が無い。
いつ亡くなってもおかしくない状態にあるので、待ってられない、
すぐ2本に。と、判断する。」
というような話をしてくれた。
その意味も理解できて無かったので、
どうしても踏み切れず…“往診”という手段を利用し始めた。
実際、先生が我が家へ来ても、その時のありすに対して、できる事は無いのだが…
私は、私一人で抱える事のしんどさもあったのかもしれない、
先生の目で、手で診てもらい、予想できる体内の状況、状態を教えてもらう…。
とにかく、“今のありす”を、
知識ある獣医師、信頼のおける先生に、生で見てもらいたかった。
中身が見えるわけでは無いし、原因は特定できていないし、
呼吸困難な状態にあるので、制限が多く、獣医師であっても判断は難しい。
食は確かに落ちてきている、でも、目がね、瞳は、至極生きている。
最終的に、私の希望、提案に沿って、先生が助言と共に、
可能な選択肢を用意してくれて…という形での、約3ヶ月間でした。
もっと早くに2本にしておけば、量を増やしておけば…
行なわなかった道を選んだ場合、どのような結果になっていたのか、
それはわかりません。
しかし、今回の私、ありすの場合では、
先生は、「注射の加減、判断、選択も非常に良かったと思います」と、言ってくれた。
同じ病気でも、3ヶ月以上、頑張れてる動物はたくさんいるだろうけど、
ありすの体を誰より知ってた“先生”が、この月日に対して、「スゴイです。」と、
称えてくれたのだから、これで良かったんだ、と、思っています。
|